おもいなやむ

※『イロコイ』追記






side:R



好きだと、そう口に出したら…あいつはどんな顔をするのだろう。
言われたことが分からず、唖然とこちらを見詰めるだろうか。
それとも、冗談だと思い取り合ってもらえないだろうか。
思いっきり嫌そうな顔…は、されたら精神的にきついな。
それ以前に、どんな顔で告白すればいいのだ。

そんな埒もあかないことを考えながら歩いていた。

この歳になって告白云々で悩む羽目になるとは思ってもいなかっただけに。
どんな錬金術の構築式を組むよりも難しい問題に思えるのだ。
だからと言って、今更告白しないという選択肢は選べない。
これ以上、ハボックの色恋沙汰で一喜一憂するなどというバカな事はしたくないのだ。

「…どうすればいい…?」

誰かに相談できるような内容ではないのは確かだ。
いや、若干1名くらいはからかいながらも相談に乗ってくれるだろうが…。
相談の倍以上の娘自慢を聞かせられるのはご免被りたい。

どすん。

前も見ずに歩いていたため、何かに…いや、誰かにぶつかった。
覚えのある匂いに何とはなしに顔を上げると、相手もちょうど振り向いたところで。
青い澄んだ色の瞳とまともに目が合ってしまった。
瞬間的に、頭の中が真っ白になって。
「あ、あのだな…」
切り出してしまってから、しまったと思ったが後の祭りだった。
















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